重ねられた手。傷付いている指を労わるように、優しく包み込むようにして握り込まれる。
「・・・ゼヘル・・・っ」
吐息混じりの愛しい声が耳に届き、それまで目の前の白い素肌に舌を這わせていたゼヘルは、そっと顔を上げた。
「どうした?ミカエル」
そうして口元に小さな笑みを浮かべながら、ミカエルの顔を見遣れば、寄せられていた眉がさらに顰められる。
頬は紅潮し、身体は小刻みに震え、涙は溢れていないものの、細められた緋色の双眸は微かに揺れていた。
ベッドの上・・・真っ白なシーツに沈む、幼くも美しいミカエルの身体。その滑らかな素肌には、幾つもの朱色の痕が付けられている。
つい先ほど付けたばかりの真新しい胸元の痕に、ゼヘルは再び吸い付き、より色濃くその所有印を刻み込んだ。
「ッ、あ・・・!」
チリッ、と熱を孕んだ痛みに、ミカエルの口からは小さな声が漏れる。
だが痛みだけではない、明らかに快楽を伴ったその甘い声に、ゼヘルは笑みを深めながらミカエルの胸にある色付いた突起にも舌を這わせ、そして躊躇なく口に含む。
途端にミカエルは殊更甘く高い声を上げて、喘いだ。
「あっ・・・、んァ・・・ッ!」
突起を舌で転がしながら、もう片方にも手を伸ばし指先で摘んではクリクリと存分に弄る。
ミカエルが身に纏っていた漆黒の喪服はとっくにその全てを剥ぎ取られ、今はベッドの下に無造作に落とされている。
一糸纏わぬ姿でゼヘルの手によって愛されているミカエル。その小柄な身体を快楽に震えさせながら艶やかに乱されていた。
「ぅ、あっ・・・、やァッ・・・噛む、な・・・!」
口に含んだままの突起を軽く甘噛みすれば、ミカエルの両肩がビクンッ、と跳ね上がった。
抗議を受けても尚ゼヘルは突起に歯を立て刺激を与える。同時に先端の微かな窪みを、舌で抉るようにして舐めれば、その相反する感覚にミカエルはより甘い声を零す。
執拗に胸元を愛撫したゼヘルは、しばらくすると満足したようにそっと顔を離した。
「ふぁ・・・」
「・・・綺麗だな・・・」
「・・・?」
ミカエルの身体を見下ろしながら、ゼヘルは感嘆の声を漏らす。
僅かに乱れている呼吸を浅く繰り返していたミカエルは、そんなゼヘルを見上げながら一度だけ目を瞬かせた。
唾液で濡れそぼった胸元・・・その二つの小さな突起は与えられた愛撫により赤く染め上がっていた。身体中に散りばめられている所有印も相俟って、今この瞬間にミカエルを抱いているのは他でもない自分なのだという事実を、否応無しにゼヘルに突きつけていた。
何度犯されても尚、穢れることのない身体。そして、その魂――。
ゼヘルは無意識に、コクリ、と喉を鳴らした。
そうして、その情欲に満ちた眼差しをミカエルへと向け、薄く開かれている小さな唇へとそっと指を這わせた。
顔を近づけ、その唇に自分のそれを重ねる。
「ん、ぅ・・・」
温かく、柔らかいミカエルの唇は・・・まるで媚薬だ。
一度触れてしまえば、あとはもう理性など繋ぎ止めて置けなくなるほどに、これ以上なくゼヘルを夢中にさせた。
下唇を舌で舐め上げ、そして深く口付ける。それを受け入れるようにミカエルがそっと口を開けば、ゼヘルは誘われるままに舌を差し込んだ。
くちゅり、と小さな水音を立てて舌が絡み合う。それは何度も強く擦り合わせるほどに、より大きく二人の耳に届き、静かな室内に卑猥な音を響かせた。
ミカエルは顔を真っ赤に染めながらも、ゼヘルの首に細い腕を回し、もっと、と強請るように引き寄せた。
それがとても可愛くて、嬉しくて・・・ゼヘルは拒むことなどするはずもなく、ミカエルの身体を両腕で抱き締めて互いの繋がりを深くした。
舌を絡めたまま何度も角度を変えては、その合間に息継ぎをしながら長く口付けを続ける。
溺れるほどに口内を犯され、その快感はミカエル自身にも影響を及ぼしていた。
そのことにミカエル本人は気付いてはいないが・・・ゼヘルはとっくに気付いていた。口付けを交わしたまま、そっとミカエルの下部に手を伸ばし、その僅かに起ち上がっている幼い性器を握り込んだ。
「・・・っ、んあァッ!!」
前触れも無く与えられた強い刺激に、ミカエルは思わず唇を離し、目を見開いて甲高い声を上げた。
構わずそのまま上下に何度も扱けば、ミカエルは断続的に喘ぎ、そんな彼の反応にゼヘルは満足気な笑みを浮かべた。
「あっ、あっ・・・ゼヘ・・・ル・・・っ!」
「可愛いなお前・・・ホラ、もっと鳴いて・・・」
「あァ、ん・・・っ、ゼヘ・・・やぁっ・・・もっと、ゆっく・・り・・・!」
「眠らせてやるって言ったろ?なら、もっと・・・激しくした方が良いだろ?」
そう言ってミカエルへの抱擁を解いたゼヘルは、素早く下部へと移動し、ミカエル自身を口に含んだ。
「ひあァッ!」
パクリ、と一気に根元まで口内に覆われた幼い性器が、その刺激にピクピクと震え、先端からは蜜を溢れ出させた。
それを舌先で舐め上げて、ゼヘルはすぐさま上下に頭を動かし、激しくミカエルを追い立てる。
「ふあっ!・・・アァ・・・ッ、いやァ・・・あっ!」
立て続けに与えられる快楽に、ミカエルは耐え切れないように大きく頭を振った。
いつの間にか眦に溢れていた雫が、その度に頬を伝い、透明な軌跡を描く。それはとても美しく、一種の芸術のようだった。
両手でシーツをギュッと握り締めながら、ミカエルは無意識に腰をくねらせ、逃れようとずり上がった。
だが、それを許さないというように、ゼヘルはミカエルの腰を掴んで引き戻す。ミカエルの性器がより深く口内に誘われ、そのざらついた舌の表面で余す所なく舐め上げられた。
ヒクリ、と喉を引き攣らせるミカエル。
「あ、ふ・・っ、・・・あァ・・・ッ」
「逃げんなよ・・・気持ち良いんだろ?」
「ん、ぁ・・・っ」
「なぁ、言ってみろよ?ミカエル」
「っ・・・、・・・・・い・・・」
「ん?」
完全に起ち上がっているミカエル自身から唇を一旦離したゼヘルは、それを掌で包み込み、それまでの激しさとは一転して緩やかに扱いた。
そうして顔を上げたゼヘルは、ほぼ真上からミカエルの顔を見下ろした。
期待に満ちた眼差しを向けるゼヘル。そんな彼を、ミカエルは羞恥により真っ赤に染まった顔で、息も絶え絶えになりながらも恨めしそうに見つめ返した。
乱れた呼吸を繰り返していた口で、それでも言葉を紡ぐ。
「・・・気持ち・・・良い・・・っ」
「何処が?どうしてもらうと、気持ち良い?」
「・・・っ、貴様・・・!」
「くっくっ・・・言わねぇと ずっとこのままだぜ?」
「ぁ、う・・・ッ」
「言えよ、ミカエル・・・どうしてほしい?」
意地の悪い笑みを浮かべながらそう言われ、クチュクチュとゆっくり性器を弄られ、ミカエルは熱い吐息と共に声を漏らした。
もう限界に近く、足はガクガクと震えている。ミカエルが望んでいるものは、たった一つだけ。邪魔をしてくる羞恥心を四散させ、ミカエルは意を決すると、涙に濡れたままの緋色の双眸をゼヘルへと向けた。
そして・・・
「ゼヘル・・・っ」
自身を握っているゼヘルの手をやんわりと解き、そのさらに奥・・・先端から溢れ伝った蜜で濡れている後孔へと、自らの手で導いた。
ミカエルのこの思い切った行動には、ゼヘルの方が驚き、動揺してしまった。
見開かれる赤い双眸。しかし・・・
「お前が・・・ほしい・・・っ、挿れて・・・!」
その台詞が、その声色が・・・そして、情欲に満ちたミカエルの表情がその瞳に映し出された瞬間、ゼヘルの中ですでにギリギリだった理性が、瞬く間に音を立てて崩れ去った。
「仰せのままに」
嬉しすぎるほどの告白を紡いでくれたミカエルの唇に、ゼヘルは深く口付ける。
そうして所望された通りに、さらに深く強く・・・濃厚なる愛撫を、今度は焦らすことなくミカエルへと与えた。
解かされた体内、その最奥までもを昂ぶった欲望で何度も貫き・・・ドロドロになるまで交じり合う。
『―――首輪を使わず・・・私を眠らせろ』
行為の前に言われた言葉が、ゼヘルの脳裏に浮かんで、そして消えた。
まだ高い位置にあったはずの太陽が、気付けばすでに沈みかけていた。
結局、ミカエルがゼヘルに眠らせてもらえたのは・・・それからずっとずっと後のコト。
END
因みに、翌日・・・
「・・・・・」
「なぁ、ミカエル・・・いい加減機嫌直してくれよ」
「黙れ、この俗物が」
「朝方まで寝かせてやれなかったのは悪かったよ。・・・でも、誘ってきたのはお前・・・」
ドゴッ!!
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最初のフラテイのほの甘具合とか、後半の斬瞳の甘々具合とか、
私の萌えゾーンにストライクです!!
フラテイから斬瞳に変わる辺りは、私のイメージ通りで、
本当にもう、萌え悶えすぎてどうしていいか分かりません!
如月さん!素敵な小説をありがとうございましたー!!vv